
人間関係がうまくいかない原因は全て“絶対”という言葉にある。
この記事で伝える事を一言でまとめるとこうなります。詳しくは記事の中に譲るとして、先にあなたが“絶対”を捨てれば、得られるメリットについてご紹介しましょう。
それは以下の通りです。
- 夫婦や上司とのトラブルを“確実”に回避出来るようになる
- 子供に“ウルサク言わず”、学業へのやる気を引き出す教育が出来る
- 営業や恋愛において“無理なく”相手を口説き落とせる
そして“絶対”を捨てる為の方法論は、この記事の中に全て書きました。
具体的には以下のような内容と順番になっています。
- 全ての争いの原因となる“絶対”という言葉
- 精神的に自由になれる人付き合いの仕方
- 瞬時に合意を取り付ける抽象度の上げ方
- 傷つけずに苦情を伝えたり、納得させる為の言葉の使い方
また、ここで紹介している方法論は、相手をコントロールするのではなく、お互いがハッピーになる為のコミュニケーションの基本だと言えます。是非記事を読み、実践してもらえればと思います。
※あなたは人間関係において「いじめられる・馬鹿にされる」というコントロールされる立場になりがちではないでしょうか?もしそうなら、心理ステータスが低い事が原因です。
その場合は《コミュニケーションが苦手な人にたった一つだけ伝えたいこと》という記事も併せて読む事をお勧めします。 |
人間関係がうまくいかない人は“絶対”を捨てなさい。
「この世に絶対なものなど存在しない」
これは数学的にも証明された事実ですが、実は円滑な人間関係を築く為には、この事に気づく必要があります。
これはこの後に説明する、人間関係がうまくいかない理由の全てに繋がります。ですのでまず、この“絶対はない”という感覚をしっかり抑えましょう。
イカれたメガネ屋さんと青年の話…
青年:最近、視力が落ちてきたのか、文字がぼやけて困っているのです。 メガネ屋:そうですか、それは良いタイミングで来られました。ちょうど私もメガネを買い替えた所でね、そこで私の古いほうのメガネを一つ差し上げましょう。 青年:え?いや…あの… メガネ屋:どうしたんです?あぁ、お金の事ですね。心配しないで下さい、無料で差し上げますから、ほらかけてご覧なさい。 青年:はい…。(しぶしぶかける)…すいません、余計に見にくいんですが… メガネ屋:何を言っているんですか?ちょっとメガネを貸して下さい…(眼鏡をかける)…ほら、こんなによく見えるじゃないですか。 青年:それは、私と先生の視力がですね… メガネ屋:先ほどから聞いていれば、あなたは口答えばかりですね…私は親切をしようとしているのに。 青年:あの…ちょっと… |
と、二人のやりとりはこの辺りでやめましょう。この話を聞いて、あなたは「バカだなぁ……」と感じたかもしれません。
ですが多くの人は、人間関係において、このメガネ屋と同じ間違いを犯していたりします。
それは…
「私の考えは絶対に正しいのだ」
と思い込む事です。
人間関係では“自分が正しい”を捨てなさい
確かに古いメガネは、“老人には”ピッタリくるデザインで、視力に合った見やすいメガネなのかもしれません。ですが、“若者には”全く合わないメガネなのです。
こんな風に正しいとか、間違っているというのは、あくまで主観的なものです。
例えばイスラム国や北朝鮮のふるまいを見て、私達は「間違っている!」と感じるかもしれません。ですが彼らにとっては、日本のほうこそ「間違っている!」なのかもしれません。
そんな風に、環境的・文化的背景から、お互いにとっての正義や悪が存在するだけです。
にも関わらず、お互いが「自分達は絶対正しい!」と主張しだすから、揉め事が起こるのです。
実は、あなたの身の周りで起こる些細な紛争から、世界中で起こるテロリズムや戦争まで、全てこの思考が生み出しているのです。
例えば
- 「あの人の言うことがムカつく!絶対におかしい」
- 「あなたの神は偽りだ、だからその思想は排除しなければ」
という風に。
もし、自分の意見は絶対的に正しいとは言えない…と考えれるならば
- 「もしかしたら、相手の言っている事は正しいのかも…」と吟味をしたり
- 「上手い落としどころはどこかな?」と考えたりするはずです。
少なくとも自分の意見を押しつけたり、圧力をかけたり、虐待をしたり、ミサイルを撃ち込む事は無くなるはずなのです。
“相手は未知なる宇宙人”と思えば、人間関係はうまくいく
そもそも本来、私たちが見ている世界というのは幻です。
例えば、自閉症を持つ一部の人は、光や色彩を強く感じたり、遠くの音と近くの音が同じ大きさで聞こえたりすると言われています。
それと同じように、実は私たちが見ている世界も一人ひとりが違っているのです
あなたが見ている世界は“あなたの脳が認識している世界”にしか過ぎないのです。
その一例として、脳の情報選択性(これは私の造語)があげられます。
脳は
- 自分が興味があるもの
- 自分にとって重要性の高い情報
を優先して取り入れるように出来ています。それ以外のものはスコトーマ(心理的盲点)によって隠されるのです。
お陰で私たちは、人が多くてウルサイ場所でも、隣の人の会話を追いかけたり出来るのです。(これを心理学ではカクテルパーティー効果と言います。)
ですが「何に興味があるか」とか、「何が重要だ」と感じるかは人それぞれでしょう。
ですから私達は、一人ひとりの脳が作り出した都合の良い現実を見ているに過ぎないのです。
それなのに「私達は同じように考えている」と捉え、自分の意見に同意させようとするのは、初っ端から間違いなのです。
主張の違いは当たり前なのです。
たとえ数十年連れ添った夫婦でも「自分のすぐ隣にいる人は未知なる宇宙人だ」くらいに考えておけばいいのです。
そうすれば、意見のすれ違いにイライラしないでしょう。相手をもっと理解しようと努めるでしょう。相手に自分の意見を押し付けたりしないでしょう。自然と人間関係もうまくいくはずです。
親と子供の人間関係がうまくいかない理由
もう少し具体的な例をあげましょう。
私がよく思うのは、「勉強しなさい!」と怒鳴り、無理やり子供に勉強をさせる大人についてです。
これも親は「自分が絶対に正しい」という価値観を持っている証拠です。
ですがそもそも論として、学校の勉強は絶対に必要でしょうか?
科学者や学問を究める人にはそういった勉強が必要かもしれませんが、そうでない人には必須条件ではありません。
例えば20年前の世界を思い浮かべて下さい。スマホなんて無かったし、ツイッターやフェイスブックも存在していませんでした。
ですが、こういった世界を作ったのは、親の敷いたレールに乗らず、学校の勉強に囚われず、自分で様々な事に興味を持って、学んできた人達です。
そして私たちはこのような変化を20年前に想像していたでしょうか?
していなかったはずです。おそらく、当時の知識人でも、これだけの変化は予期出来なかったでしょう。
つまり未来の世界にも“絶対”などないのです。誰にも分からないのです。
にも関わらず、親が子供に「こうしなさい!」と押し付けるのは変ではないでしょうか?
何故なら親が持っている20年前の価値観が、現代の子供に必要なのかは、誰にも分かりません。それが20年後に通用するかは、もっと分からないはずです。
ひどいのは、子供が親の世代になった時「これは間違いだった」と分かっても、親に子供の人生の責任は取れない事です。
人生はゲームのように「最初から始める」とはいかないのです。
ですから親側の人間は、決して強制してはいけないのです。出来るのはせいぜい「私はこう思うよ、でもどうするかは自分で決めなさい」というアドバイス程度です。
子供側の目線で言えば、親の考えが「正しい」と思えば、自分もそうすればいいし、「違う」と思えばやらなければいいのです。
子供の教育法について、もっと深く突っ込んだ所まで知りたい…という人は以下の二つの記事を読まれると良いでしょう。 |
人間関係がうまくいかないのは“自由”が無いから
ここまでは、いかに“絶対”が人間関係をおかしくさせるかをお伝えしてきました。
ここからは、
「相手に意見を押し付けない為には、どのような姿勢で人付き合いをするべきか?」
についてお話をしたいと思います。キーワードは「自由」です。
他人の領域を侵害すると、人間関係はうまくいかない
日本人に多いそうですが、私が見ていると、多くの人は「他人の仕事」に口出しをしすぎたり、奪ったりし過ぎています。
これは他人の領域を侵害していることになります。
例えば子供が何かチャレンジングな事をしている時、大人が手伝おうとすると「触らないで!」と、子供が怒るのを見た事はありませんか?
ああして子供は、大人から仕事を奪われないように、守っているのです。人は自分の仕事を奪われると「自分には能力がないからだ」と自己肯定感が傷つくのです。
ですから手伝いや口出しは、相手の領域を侵害しないように、慎重にしなければなりません。
これは子供だけに限った事ではありません。職場や夫婦関係にも必要なスタンスなのです。
例えば、夫が洗い物をしたり、子供のオムツを変えようとする。
そんな時に「あぁ、そんなやり方はダメ!私がやるわ」と妻がウルサク言ったり、仕事を奪うと、夫はいつまでも上手にならないし、やる気も損ねます。
結果、二度とやらなくなります。
こういった時は夫のやり方が下手でも、「ありがとう」と笑顔で答えてればいいのです。そして「アドバイスや分からない事があったら言ってね」とでも声をかけて、遠くから見ておけばいいのです。
同じように職場でも、部下の仕事を奪って、「あぁ忙しい、私ばかり仕事をしている。いつまでも部下は成長しない」と言う上司がいます。
彼らに言いたいのは、「あなたが部下の仕事を取ってる事が原因ではないですか?」という事です。
“無理やり”は人間関係を破綻させるNGワード
私の話を聞いていると「じゃあ子供や部下に何もしなくていいの?ひどい!」と勘違いする人がいるかもしれません。ですが、そうではありません。
私が伝えたいのは
- 押し付けたり
- 強制したり
- 怒鳴ったり
- 圧力をかけたり
- 過剰なアドバイスしたり
する事をやめましょうという事です。
これはどんな人間関係でも同じです。
親子関係で話を続けると、親が出来る事は、勉強やスポーツを子供が「自らやりたくなるように仕向ける事」であり、無理やりやらせるものではないという事です。
せいぜい「勉強したら大学に行ける、収入が安定しやすい」といったような、メリットやデメリットなどの“事実を伝える事”しか出来ないのです。
そして事実を伝えたら「最終的にどうするかは君が決めなさい」というスタンスを取るべきです。そこから先、やるかやらないかは子供の課題なのです。
子供の人生は親ではなく、子どもが責任を持つのです。
例えば私は中学、高校と全く勉強しませんでした。ですが、その時に親や周りの言われるままに勉強をしなくて本当に良かったと思っています。
何故なら、私が本を読んだり、勉強をしたり、仕事をするのが大好きなのは「すべて自分でやり始めたから」です。
もし親や周りの言われるがままにしていたら、勉強が大嫌いになっていたでしょう。こうしてブログで文章を書く事も無かったはずです。
羊も人間関係も“柵をつけて、見守る”が理想
相手に強制してはいけないと言えど、「なんでもかんでも自由でOKだ。」という訳でもありません。
例えば子供であれば、車にひかれるといったよような「生命の危機」とか、職場であれば、顧客や会社の信用を失うような「大損害を出す事」を放ってはいけません。(飲食店の食中毒とか、横領・脱税とか)
モラハラやセクハラ、虐待などの「人権の侵害」はしてはいけないし、それらとは堂々と戦うべきだと私は思います。
こういった「これは超えたらダメだろ」というラインを作っておく事は大切です。(勿論、その判断は主観的なものになりますが。)
ただ、それ以外の大抵の事は多めに見るべきなのです。
私が思うに
- 一番に好ましくないのは、無視したり、ほったらかしにする事です。
- 二番目に好ましくないのは、コントロールしようとすることです。
例えば、羊や牛を飼いならすとしたら、柵をつけて、広々とした草地に放せばいいのです。
これを人に置き換えるなら。
「ライン引きだけして、好きなようにさせておき、ただ行動を見守る」
というのが一番良いやり方ではないでしょうか?
人付き合いはホテルのウェイターのように
ですから私が伝えているのは、決して放任主義でも、過干渉でもないという事です。ただ、見守るのです。
ちゃんと見ていれば、どうしてもアドバイスが必要な場面が分かりますし、必要であれば相手から自然と声をかけてくれるはずです。
人は基本的に独立した個人なのです。
それは、親も子供も、上司も部下も、夫も妻も、全ての人間関係において変わりません。
一人ひとりが自分の役割をまっとうして、失敗や成功の責任を背負うべきなのです。
その為には、
- 自分の仕事は自分でする
- 他人の仕事には手も口も出さない
という思考を持つべきなのです。
イメージとしては、結婚式場やホテルのウェイターを浮かべると良いでしょう。
彼らは必要もないのに、向こうからやってきて、「あれしなさい、これしなさい」とは言わないでしょう。
こちらが必要であれば、手をあげれば来てくれます。
そしてワインを入れたり、料理の説明をしてくれます。スプーンやナイフを落としたらそっと拾って、代わりのものを用意してくれたりします。子供が来ていたら、お子様用の椅子を用意したりもします。
つまり
相手が必要な時に必要なだけの支援やアドバイスをすること
です。これこそが、最高のコミュニケーションの形ではないでしょうか?
人間関係がうまくいかないのは“抽象度が低い”から
ここまでで伝えてきた事は、
「相手の領域を侵害しない、強制をしない。人はライン引きだけして、自由にさせておき、じっと見守るべき。必要な時に必要なだけのアドバイスや手伝いをする」
といった事でした。
ここからは、これらを前提にした上で
「どのように自分の意図を伝えるか?」
について考えてみましょう。キーワードは抽象度です。
人間関係をうまくいかせたいなら、意図を揃えなさい
伝え方について説明する前に、まず把握しておきたいのが
「コミュニケーションは意図と意図の交換である」
という事です。
基本的には
- あなたが相手にしてほしい事を伝える
- 相手があなたにしてほしい事を伝える
という事の繰り返しなのです。
そしてこの意図が対立するからこそ、人間関係がこじれるのです。お互いが「私は正しい!」と訴えている状態です。
例えば私の意図が「あなたに、ギターをセールスしたい」だとしましょう。でも、あなたの意図が「ドラムが欲しい」だったとします。
その場合は私がいくら
- 「本当は10万だけど、今なら5万円!それもこの一本限りです!」
- 「あの○○も使うモデルで、初心者にも弾きやすいと評判です。」
と良い情報やメリットを並べても、あなたは「うるさいなぁ」「早く話が終わらないかなぁ」と思うだけです。
これでは、いくら私が口が上手くても、あなたにモノは売れません。
この例にもある通り、全ての人間関係において大切なのは、こうした意図を揃える事なのです。
意図を揃えるキーワード「抽象度」とは?
実は相手と自分、お互いの意図を揃えるためには、抽象度という概念は欠かせません。
とはいっても、抽象度という言葉自体が馴染みないかと思いますので、先に少しこの言葉の解説を加えます。
抽象度とは、一言で表せば、「どの視点から物事を見るか?」という事になります。
よく
- 虫の目で物事を見る(細かいミクロ世界)
- 鳥の目で物事を見る(俯瞰したマクロ世界)
と言いますが、その感覚に近いと思います。
具体例をあげると「生命」という言葉は、とても抽象度の高い言葉です。
何故なら生命という概念には、私もあなたも、地球上の人全ても、その他の動物や植物も、全てが含まれるからです。
このように多くの情報が含まれた言葉が抽象度が高いとも言えるでしょう。
女の子が食べ物や服、車や顔、なにを見ても「カワイイ!」と言って、それで通じてしまうのは、カワイイが抽象的な言葉だからです。
「では、抽象度が低い言葉とはどのようなものか?」
というと「日本在住、大阪市出身の自己能力開発家の絵主さん」などになります。おそらくこう呼んで「はい!」と返事するのは日本中で私しかいないでしょう。
このように情報が限定されていて、具体的な言葉が抽象度が低いと言えます。
これが抽象度が「高い、低い」という事の意味です。以下の画像も参考にしてみて下さい。
抽象度を高めれば、意図と意図は繋がる
「では抽象度が、人間関係を考える上で、どんな風に役に立つの?」と思われるかもしれません。
人間関係の問題は意図の対立によって起こる事は、散々お話をしてきましたが、実はこの対立は、抽象度を上げると全て消滅させる事が出来るのです。
先ほどのギターのセールスの例で考えてみましょう。
例えば私の「ギターを売りたい」という意図の抽象度をあげてみます。
すると「(ギターを売って)素晴らしい音楽を演奏してもらいたい」などが浮かぶはずです。
そうすれば相手の「ドラムを買いたい(そして良い音楽を演奏したい)」という意図にマッチしてくるはずです。
とはいえ、これでは抽象度が高すぎるかもしれません。そこで適切なポイントを探ります。
例えば、「ドラムを買いたい」という意図の抽象度をあげてみると「ミュージシャンになりたい…」というものがあるかもしれません。
すると、こんな風にセールスが出来るでしょう。
「あのエックスジャパンのYOSHIKIさんもドラマーでしたが、ピアノやギターも弾けるそうです。あなたがミュージシャンになりたいのであれば、メロディ楽器を一つは持っておくと良いですよ。作曲や音楽全体の事が理解出来ますから。その一歩目として、このギターはお勧めです。」
こんな風にすれば、相手との意図とかなりマッチしてくるのではないでしょうか?
すると、例えこの時点で購入しなくても「いい話が聞けた」と感じたり「将来この店で購入しよう」と思ってくれるかもしれません。
抽象度を高めれば、人間関係はおかしくなりようがない
もう一つ例をあげましょう。例えば「勉強しなさい!」という親の願望と、「やりたくない!」という子供の願望を一緒にしてみます。
まずは「勉強しなさい!」という親の意図の抽象度をあげてみます。すると、「子供に幸せになって欲しい」というものが浮かぶでしょう。
子供の意図の裏にも当然「自分が幸せになりたい」という願望が隠されているはずです。
つまりお互いの意図は、ここで確実に一致するのです。
そうすれば「子供が幸せに生きる為には何をするべきか?」という視点から会話を進める事が出来ます。
子供は自分にとってメリットのあることなので、頭ごなしに言われるより、素直に話を聞けるでしょう。
その為の方法論が勉強になるかは別として、双方納得のいくゴールに少し近づけるはずです。
こんな風に、人の意図は抽象度を上げていくと、どこかで必ずまとまります。
究極的には「幸せな人生を送りたい」という意図で、全ての人の意図は必ず揃います。その視点でお互いが会話すれば、人間関係はおかしくなりようがないのです。
本来、営業や教育、全てのコミュニケーションとはこのようにあるべきではないでしょうか?。
※例え自殺者やテロリストでも「ハッピーになりたい」という意図は変わりません。この事は《人生の目的とは何か-幸せな日々を送る人が知る5つのこと-》という記事でも書いたので、興味ある人は見てください。 |
人間関係がうまくいかないのは“言語運用が下手”だから
ここまでで伝えてきた事は「抽象度を高めれば、人と人の対立は無くなる。」という事でした。とは言えど、抽象度を高めればその分、本来の意図はぼやけてしまいます。
例えば「靴下を部屋に脱ぎ捨てるのはやめて欲しい」というような具体的な行動レベルで、相手に変わって欲しい部分もあると思います。
そこでここからは、相手を説得したり、苦情を言う為の「効果的な言語の使い方」について触れたいと思います。
ただし、「この世に絶対はない」をお忘れなく。
※もちろん、何度伝えても変化しない人もいるでしょう。そんな場合は、相手と距離を置く事も考えるべきです。これについては《人間関係をリセットして自由になる人/不幸になる人の違い》でお伝えしているので、お読み下さい。 |
XYZトーク
相手に何か苦情を言う際、現実によく聞かれるのは「あなたって思いやりがないのね、ひどい人」といった言葉だったりします。
これでは人間関係が悪くなるだけですし、問題行動も改善しにくいでしょう。
心理学者のハイムギノット氏は、こんな時に上手な伝え方として「XYZ」と述べています。
これは
「あなたがXをしたから、私はYな気分になった。Zしてくれれば良かったのに。」
という伝え方をする方法論です。
例えば
- 「あなたが夕食をいらない事を連絡してくれないから、私は大切にされていないのかと感じて腹がたった。電話の一本でも入れてくれたらよかったのに。」
- 「あなたが○○さんの悪口を言うから、嫌な気分になった。私にとっては、あなたも○○さんも大切だから、私の前で言うのはやめて欲しい。」
といった伝え方が考えられます。
コツは「自分が嫌な気持ちになるから変えてほしい」と伝える事です。
これであれば「相手が間違っている」ではなく、「自分が正しい」でもないはずです。相手に敬意を払った話し方になるでしょう。
このXYZトークはシンプルなので、活用しやすいはずです。
チョイスアプローチ
XYZトークの、更に一段階上の伝え方として、私が提唱するのはチョイスアプローチです。
同じく苦情を言うときや、相手を説得したい時などに使えるでしょう。(効果的な分、少し複雑で知識も求められます)
実際に私がコミュニケーションをする時や、文章を書く際には、下記のようなチョイスアプローチ的に、伝えている事が多いかと思います。
チョイスアプローチテンプレート ○○をしてても良いと思います。その行動をする事で、あなたは△△のメリット(デメリット)を得るでしょう。どうするかは、あなたが決めて下さい。 |
具体例をあげると…
「宿題をしなくても良いよ。楽だもんね。でも、学校の成績が悪いと、クラスのみんなに馬鹿にされるかも。それに勉強する男の子はモテるんだよ。あなたの好きな○○ちゃんも振り向くかも。まぁ、どうするかはあなたが決めたら。」
みたいなイメージです。
チョイスアプローチに含まれる要素は二つあります。以下でご紹介しましょう。
1.相手に選択の自由を与える。
チョイスアプローチでは、強制・命令的な言語は使いません。相手に常に選択肢を残しておきます。
例えば
- 「○○をしていても良いよ」
- 「どうするかは、あなたが決めることです。」
といった言葉を使えば、相手が自由に決めるスペースが残りますし、自分の責任だという事を自覚させる事が出来ます。
また、言う時の態度も大切です。
例え言語がちゃんとしていても、怒鳴ったり、脅すような口調で言っては、結局強制になってしまいます。真摯に向き合いながらも、あまり感情を入れずに淡々と言うと良いでしょう。
2.相手にとってのメリットとデメリットを提示する
例えば勉強する…だったら以下のようにいくつかメリット/デメリットがあるかと思います。
勉強するメリット | 勉強しないデメリット |
論理的な思考が磨かれる | 将来、就職先が見つかりにくくなる |
○○ちゃんが振り向くかも | 問題解決能力が低くなる |
モテル人やお金持ちは勉強する | 周りの人からバカにされやすくなる |
この中から、相手の心に響くポイント、つまり意図に沿ったものを提示する事が大切です。もし一つのポイントで響かなければ、別のポイントに変えてみてもいいでしょう。
相手の行動や感情を理解する言葉を使う
ついつい人は、自分の意見と相手の意見が違うと、すぐさま否定しがちです。そうなるのは、やはり「自分が絶対に正しい」と思っているからです。
まずは相手の行動を理解したり、感情に共感を示す事が大切です。ただ、自分と意見が違えば同調をする必要はありません。
具体的には、以下のような言葉を使ってみてはどうでしょうか?
|
こういった言葉を使う事によって、相手は自分の自尊心を損ねる事がありません
あなたに対して信頼感を抱きやすくもなるでしょうし、あなたの意見も聞いてもらいやすくなるでしょう。
相手の意図に沿ったメリットを投げかけなさい
先日、あるバーのマスターからこんな相談を受けました。
なんでも自分の息子がプロのサッカー選手を目指しているそうなのですが、勉強を全くしないと。
そこで私はサッカーの概念に勉強を含ませる事を提案しました。(抽象度をあげるテクニックですね。)
具体的には以下のように伝えるように促しました。
一流のアスリートには、ある程度の頭の良さが必要になります。サッカーだけしていてプロになれるわけじゃありません。 例えば
それに彼らは全員、サッカー留学の為に外国語がペラペラです。そもそもサッカーのような戦術的なスポーツは、頭の良さが求められるはず。 これはゴルフの石川遼選手や、野球の大谷翔平選手も同じです。ハンマー投げの室伏広治選手なんて博士号を持つ教授です。 そんな風にスポーツ界で輝くには、文武両道の方がいいと、私は思います。 だからサッカー選手になりたいなら、学校の勉強じゃなくてもいいから、何かを勉強した方がいいですよ。 |
と、こんな風に伝えることを提案しました。
バーのマスターはとても納得して、「家に帰ったら伝えてみる」と言っていました。それからどうなったかは知りませんが…。
※ただ、こういったメリット/デメリットを語るには、知識が無いと出来ません。知識の増やし方については、《徹底分析!大谷翔平選手が活用した目標実現ツールと、9つの成功原則》の記事で書いたので、参考にしてもらうと良いでしょう。 |
まとめ:人間関係がうまくいかない人へ届ける改善策
最後にこの記事でお伝えしてきた事をまとめて、終わりにしたいと思います。
下記の方法論を実践すれば、
- 円満な恋人・夫婦関係
- 愛し、愛される親子関係
- 利益のあるビジネスコミュニケーション
を築けるようになるはずです。是非、あなたの日常に取り入れてみて下さい。
全ての争いの原因となる“絶対”という言葉 まずは「この世に絶対なものなど存在しない」と理解する。そして自分の意見が正しいとか、相手の意見が間違っているという観念を捨てる。 何故なら道徳的な善悪は、その人が持つ主観的な思考に過ぎないから。 「自分のすぐ隣にいる人は未知なる宇宙人だ」くらいに考え、そもそも主張はズレて当然と考えておく。 |
精神的に自由になれる人付き合いの仕方 “絶対”を無くす為の、基本的な心構えは
といったものになる。 |
瞬時に合意を取り付ける方法 コミュニケーションは意図と意図の交換に過ぎない。 この意図を対立させない為には、相手や自分の意図の抽象度を上げればよい。そしてお互いの意図がマッチする視点から会話をすればよい。 |
相手を傷つけない効果的な言葉の使い方 相手を説得したり、苦情を言う際には
を用いると良い。すると説得力がありつつも、相手を傷つけない伝え方が出来る。 その際、相手の行動や感情を理解する言葉や、相手の意図に沿ったメリットを投げかけると、より効果的だ。 |
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